学術データベース

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2015年度卒業研究から見る食品衛生

著者名 林 有希子 (HAYASHI Yukiko)
出版社/掲載誌名 梅花女子大学食文化学部紀要
巻号 5
pp.25 - 35
出版日 2017/03
概要  著者のゼミに所属した一期生、11人の2015年度卒業論文・卒業制作テーマと、一部の研究概要を紹介し、そこから見えてくる食品衛生の現状や課題について考察する。

<鶏肉のカンピロバクター食中毒の現状と加熱調理の重要性>
2014年に近畿2府4県で発生したカンピロバクター食中毒の発生事例(71例)のうち、鶏肉料理を原因とする事例が最も多く、原因施設別では飲食店が98%を占め、発生府県別では、大阪府が55%と多かった。鶏ムネ肉のソテー実験では、50℃以上の加熱でほぼ全ての細菌が死滅していることから、食中毒予防の基本である中心部75℃1分以上の加熱をしっかり守ることが、カンピロバクター食中毒対策としては最も有効であることが確認できた。近年、牛レバーや豚肉(内臓を含む)の生食は禁止されたが5,6、鶏肉や鶏レバーの生食は禁止されていないから、消費者に対して生の鶏肉がいかにハイリスク食品であるかを積極的に情報発信する必要性がある。

<大阪湾産ボラ肉の食用としての可能性について>
 ボラは、昔は食卓に上がる機会が多かったが、現在では「臭い、汚い」といったイメージから、ほとんど食べられていない。しかし、衛生検査の結果から、細菌数は基準値以下で、産地による差も無いことが分かった。食味検査の結果から、個体に応じて、臭みを取り除く必要性もあるが、白身で十分美味しいことが、アンケート結果からもうかがえた。これらの結果から、ボラは食用としての可能性が十分にあることが示唆された。

<台所用ふきんにおける有効な洗浄方法の検討>
フキンの洗浄方法としては、水洗い後の天日干し、煮沸消毒、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(殺菌・漂白剤)への浸漬、マイクロ波照射(電子レンジ加熱)などがあるが、長期的な洗浄効果については不明である。そこで、家庭で手軽に行える洗浄方法として、水、湯、熱湯、食器用洗剤を用い、6日間フキンを湿ったまま放置しておいた場合の細菌の増殖の度合いを調べたところ、ふきんを洗剤でもみ洗いして水で洗い流す方法と熱湯消毒が効果的であることが分かった。お湯で洗い流すよりも水洗の方が効果的というのは、意外な気がするが、これは、洗浄後のふきんの温度が、お湯の場合、ちょうど多くの細菌(中温菌)が増殖しやすい温度になっていることで、残った細菌が増殖しやすいことが考えられる。身近なふきんの効果的な洗浄方法と、思わぬ危険性を示すことができた。

<電子レンジの効果的な洗浄方法について-重曹とクエン酸の比較>
 身近にある電子レンジが一体どれほど汚れているのか、また、洗浄方法は何が効果的なのかを調べた。
電子レンジの拭き取り検査では、庫内>ターンテーブル>取手の順で汚れがひどかった。重曹水で洗浄後は、特に、取手の汚れが落ちた。クエン酸水での洗浄後は、取手は、重曹と同程度汚れが落ち、ターンテーブルと庫内側面は、重曹以上に劇的に汚れが落ちた。クエン酸水は、家庭でも簡単に調整でき、安全性が高く、電子レンジの洗浄剤として、今後の普及が期待できる。

<近畿地方の自治体HACCP認証施設のマッピングから見る食の安全>
 近畿地方で認証を実施している兵庫県、大阪府、京都府、滋賀県、和歌山県に絞り、各自治体の制度の内容と認証施設や認証品目、認証年月日、住所を表にまとめ、さらに白地図に認証施設を、認証品目ごとに色分けしたマップを制作することで、各自治体の制度や認証品目の特色や現況を知ることができた。

<機能性表示食品選択チャートの作成>
2015年4月1日食品表示法が施行され、それと同時に、機能性表示食品制度が始まった。そこで、消費者の商品選択の手助けとなる機能性表示食品選択チャートを作成した。「
・機能性表示食品とは」のタブでは、機能性表示食品についての説明と、似ている制度である特定保健用食品(トクホ)との違いを解説している。
・2015年4月から10月31日までに申請された「機能性表示食品一覧」のページを基本とした。
・目次から「症状別」「種類別」「成分別」のページに移動でき、そこから気になるワードをクリックし機能性表示食品を選べるようにした。
・特に気になった商品は商品名をクリックすることで、「機能性表示食品一覧」に戻り、商品の写真を見ることができる。