学術データベース

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地域在住統合失調症者の自己管理・自己管理支援に関する文献学的検討

著者名 山元恵子 (YAMAMOTO keiko)
共著者名 籔脇健司、 川野雅資
出版社/掲載誌名 看護科学学会学術集会(示説)
出版日 2013/12
概要 【目的】本研究では、地域に住んでいる統合失調症者の自己管理と自己管理支援に関する国内の文献をシステマティックにレビューし、地域在住統合失調症者の自己管理および、その支援の構造を明らかにすることである。【方法】文献検索は、医中誌Web ver.5を用い、2013年1月5日に実施した。検索期間は全年(1983年以降)とした。統制語検索により「統合失調症」、「自己管理」、「地域保健医療サービス」の全てを含む文献を抽出した。検索対象の範囲は原著論文のみとした。検討方法は、論文の精読を通して、目的に合致した文脈を抽出し、質的統合法で分析した。質的統合法とは,KJ法の基本原理と技術をもとに質的研究法として実践的に発展させたものである。【結果】医中誌では103件が検索された。得られた文献のうち実態調査、プログラムの検証研究などは除外し、当事者視点の自己管理に関する記述が結果にある
論文に絞った。その結果、条件に当てはまる文献は48文献(医学6,看護学42)であった。そして、各論文の結果から当事者の自己管理について言及している箇所を抽出し,元ラベル127枚を作成した。同様に、自己管理支援に言及している箇所から元ラベル74枚を作成した。次いで、質的統合法の手法に則って見取図2枚を作成した。その結果,自己管理では以下の4つの要素が見出された.(1)病名告知を受け自己モニターによる治療参画、(2)治療と疾病・服薬・心理教育による服薬アドヒアランスの獲得,(3)住居確保と環境調整,意味ある自己制御による自分らしい生活実践,(4)疾病受容がすすみ、他者との互恵的関係性を目指して生きるであった。また、自己管理支援では、以下の7つの要素が見出された。(1)個人に合った治療と当事者の治療参画のための多職種支援、(2)当事者の能力開発・維持のための一元化されたプログラムと段階的心理教育アプローチ、(3)当事者が納得できる疾病・服薬・心理教育の提供による意志力強化、(4)疾病・服薬・心理教育を通して、自己認識、継続力の強化、(5)パートナーシップの構築、(6)その人らしい暮らしの保証、(7)共生社会への招待、であった。【考察および結論】地域在住統合失調症者が自己管理を行うためには、病名告知と個別治療を受け、疾病・服薬・心理教育の併用による服薬アドヒアランスの獲得が基盤にあった.そして,地域で自分らしい生活実践を行うことで、自己管理が意味あるものとなり、社会参画につながるという構造を得た。また、自己管理支援は、治療と当事者教育がセットとなり、当事者が地域で暮らせる自己管理の基礎作りに重点が置かれていた。当事者の自己管理とその支援は,表裏一体の関係だった。今後の課題としては,精神に障害を持つ当事者の意志力と生活の習慣化と遂行能力バランスを考慮した援助が必要となると考える。