特集

アナウンサーを通してオーガニックを極める

植田 奈津子 氏

植田奈津子氏今回は、スポーツ・ニュース・バラエティー番組のキャスターやリポーター等を多数経験され、アナウンススクールでの講師や絵本の読み聞かせの活動を経て、現在はオーガニック食品やオーガニック製品の普及により安心安全な暮らしを推進するというマスターオーガニックコーディネーターとしてのお仕事に尽力されておられる植田奈津子さんにお話しをお聞きしました。

日本に帰国した時にニュースで見た女性アナウンサーが輝いて見えました。

聞き手:本日はお忙しいところ、またお子様から目を離せない時期なのでお子様もご一緒においでいただくという形になりましたが、インタビューに快く応じていただき誠にありがとうございます。先日は看護学部開設記念シンポジウムの司会を担当していただきありがとうございました。司会のお話はどのような経緯で受けられたのですか。

植田:梅花の学生時代にチアリーディング部に一時期入っていて三浦先生に大変お世話になり、チアリーディングクラブ創部10周年の時に司会の依頼を受けたのがきっかけで、その後時々梅花学園に関連したお仕事をさせていただいています。今回も三浦先生からご依頼をいただきました。

聞き手:アナウンサーを目指そうと思われたのはいつ頃からですか。

植田:イギリスと香港での海外生活が長く小学校6年生の時に帰国した時に日本の様子が全く解らなかったので、テレビのニュース番組などをよく見て知ろうとしました。その時に安藤優子さんや八木亜希子さんといった女性のアナウンサーが輝いて見えて、漠然とですがアナウンサーになりたいと思うようになりました。 海外では日本語学校に通っていたので学校と家では日本語、ご近所付き合いや外出した時は英語という語学的にはかなり中途半端な状態で、日本に帰ってきてから国語の能力をつけるのに苦労しました。そこでアナウンサーになるにはきちんとした日本語を習得して話ができなければと思い、朗読の練習をよくしていました。ただ大学受験となると話は別で、あまり自信のない日本文学科よりは得意な英語で勝負しようということで英米文学では定評のある梅花女子大学の英米文学科を受験して入学しました。
 大学では勉強以外の何かにも熱中したいと思っていたところ、オリエンテーションのときに見たチアリーディング部の演技が印象に残り、数日後、見学に行ってすぐに入部しました。チアリーディング部の練習が厳しいのはもちろんですが、奈良の学園前の自宅から通っていたので、通学に2時間かかり大変でした。1年生の終わり頃に、たまたまお父さんがアナウンサーをされている関大の学生さんと知り合い、その方から放送部などの経験がなくてアナウンサーを目指すのであれば2年生から準備をしないととても間に合わないと言われました。3年生から勉強すればよいかと考えていたのですが、悩んだ末、チアリーディング部を辞めました。そして、2年生の時からその方の紹介でアナウンサー養成学校「生田教室」に通うことにしました。

きっかけはサッカー番組のキャスター採用でした。

聞き手:いよいよアナウンサーになるためのスタートを切られたということですね。

植田:はい。期待に胸を膨らませて通い始めたアナウンサー学校ですが、その学校に通っておられた先輩の方々が本当に素晴らしかったので最初は自分がそのようになれるか不安に感じた時もありました。でも2年、3年と勉強するうちに自信がついてきて、いよいよ4年生になりアナウンサー受験が始まりました。マスコミ関係は採用人数は少ないのに希望者が多くて厳しいと解ってはいたもののやはり大変な経験でした。東京を始め大阪、静岡、岡山といった地方のテレビ、ラジオの放送局を受けましたが、軒並み不採用で新卒での入社はできませんでした。
 2年目になるとさすがに慣れてきて面接でも緊張することはなくなり最終の役員面接までは残れる放送局が何社かあるのですが、それでもなかなか採用には至りませんでした。そろそろ限界を感じ始めて、普通の会社に就職するという苦渋の選択をしなければならないかなと思っていた時に、アナウンサー学校の卒業生の会合で、ある先輩からKBS京都でサッカー番組のキャスターを募集しているから受けてみたらと薦められたのです。もうこれを受けて駄目だったらアナウンサーになるのを諦めようと思いながら書類を出して、面接を受けたらなんと採用されたのです。

聞き手:KBS京都のサッカー番組というと「パープルサンガ」を応援する番組ですか。

植田:はい、5分間の番組なのですが、そのための取材に週3日くらいは西京極に出かけていき選手の話を聞いていました。選手へのインタビュー内容からナレーションの入れ込みなどをほとんど自分一人でしなければならなかったので、大変やりがいがあり勉強にもなりました。その当時ちょうど三浦知良選手がおられた時期で、三浦選手には大変お世話になりその後の仕事をして行く上で大きな影響を受けました。こちらはまったくの駆け出しのキャスターであるにもかかわらず丁寧に対応していただき質問にも的確に答えてくださり、やはり一つのことを極めた人は違うと深い感銘を受けました。三浦選手とお話しできたことで、自分も何か一つのことを極めるような仕事に関わりたいとも思うようになりました。また今はフランスで活躍されている松井大輔選手や、ガンバ大阪の遠藤保仁選手がまだ新人だった時期で、友人のようにお話できた事が思い出されます。ただ残念なことに担当して1年後にパープルサンガがJ2に降格になってしまい番組も終わったのですが、その間に放送局やスポーツ新聞の記者と顔見知りになり、スポーツ報道に強いプロダクションに所属することが出来て、関西テレビの「痛快エブリディ」、読売テレビの「あさいち」や毎日放送の「ヒーローインタビュー」という近鉄やオリックスの応援番組のリポーターという仕事が立て続けに入り、その後は定期的にいろいろな仕事が入ってくるようになりました。

スポーツキャスターからアナウンサースクールの仕事へ

 阪神タイガースの特番などもやりましたが、始めた当時に野球番組のリポーターで女性は少なく、また野球の知識はそれ程なかったので大変でした。スポーツキャスターとして限界を感じ出した頃と出産の時期が丁度重なり、スポーツキャスターの仕事とは少し距離を置くことにしました。その後、テレビ大阪やテレビ和歌山でニュースをお伝えする仕事が入り、次第にテレビやラジオのスタジオでの仕事が多くなってきました。またその頃にNHK愛媛でアナウンサーをしておられたアナウンサー学校時代の先輩が東京に移られてKEE’Sという会社を立ち上げアナウンサースクールを開校するので手伝ってほしいという話があり、何かお役に立てることがあるのならということで会社を手伝うようになりました。アナウンサースクールといっても教室で生徒を集めて講義をするのではなく、インターネット上でWEBカメラを使ったe-Learning(遠隔教育)で行うという画期的な試みです。ただ実際始めてみるとやはりWEB上で教えるというのはどうしても限界があり実際に会って対面でアドバイスするということも必要にはなっていて読み聞かせWEB上のトレーニングと教室でのトレーニングを併用するような形になりました。 アナウンサースクールというと東京や大阪といった都市にしかないので、地方に住んでおられるアナウンサー志望の方には大変好評で四国の方で月に2回はWEBのトレーニングを受けて後1回は大阪まで出てきて直接指導を受けるという人もおられました。また梅花の児童文学との関連という訳ではないのですが、私は子供部門担当として絵本の読み聞かせや、子供話し方教室などを行っています。

 

オーガニックとの出会い―本当にやりたかった事にたどりついた―

聞き手:アナウンサーとして活躍されているのと同時にオーガニックの分野に関するお仕事にも取り組んでおられますね。

植田:主人のお母様が「化学物質過敏症」になられて、食べるものなどに気を使われていたり、地元和歌山で環境ネットワークに関わっていたりと様々な活動をされているのに影響を受け、微力ながら私も何か出来ないかと考え、日本オーガニック推進協議会のオーガニックアドバイザー養成コースを受講しました。そして始まったばかりの認定試験を受けて合格したのですが、それがなんとオーガニックアドバイザーの第一号でした。これは縁があるなと思いながら勉強するうちにどんどんおもしろくなってきて、その上のオーガニックコーディネーターの資格をとり、更に高度な内容の学習に進みマスターオーガニックコーディネーターの資格も取ることができました。マスターオーガニックコーディネーターの資格があると日本オーガニック推進協議会が開催する講習会の講師や、自分で教室を主宰することができます。協議会は現在のところ関東を中心に活動しており、関西には教室がないので協議会の方から是非関西でもオーガニックを広めて欲しいと言われています。
 オーガニックに関する知識はこれからますます必要になってくるのですが、まだよく知られていません。たとえば特別栽培と有機栽培というのがありますが、どちらの方が安全なものだと思われますか?(平成15年から有機栽培と無農薬栽培とどちらが安全なのかの判断がつき難いとのことから無農薬栽培は特別栽培に表示が一本化されました。 無農薬栽培、無農薬野菜、無農薬米などの表示は使わないようにとの報告がありましたが罰則がないために無農薬○○の表示は今でも多く使われています。)実は、有機栽培の方が安全です。
 「有機栽培」と表示されているものは第三者のチェックがあり、信頼性が高く、栽培方法も一番安全なものなのです。もっと詳しく説明しますと、有機栽培とは作物が必要とする栄養を化学肥料に頼らず、堆肥などの自然の肥料を使って栽培され、病害虫の駆除や土壌の改良なども科学物質を含まないものを使います。それはまさしく江戸時代の先人が行っていた農法と、あい通じる農法です。栽培中に、化学合成農薬と化学肥料の使用が禁止されています。これは、栽培をするその年だけ使用しないということでは認められません。土壌中に、農薬や化学肥料が残っていれば意味がありませんので、米や野菜などの1年生作物は、種まきや植え付けの前2年間、多年生の作物は前3年間使用していないことが条件です。
 また有機栽培は、農林水産省の認可がある認定機関からの、認定を受けなければなりません。申請時はもちろん認定後も、毎年監査がおこなわれ、違反したときは罰則の適用があります。この認定を受けた生産者のみが、「有機農産物」、「有機栽培」、「有機○○」の表示と有機JASマークをつけて販売することができることになっています。とても厳しいですよね。それに対して特別栽培の栽培方法は、農産物を生産するときに使用される農薬の使用回数がその地域の同時期に慣行的に行われている使用回数の5割以下であること。 化学肥料の窒素成分量が栽培地が属する地域の5割以下であること・・・等。あきらかに有機栽培の方が安全なのはわかりますよね。

聞き手:かなりオーガニックを極めておられますね。

植田:実はオーガニックに関する知識が増えてその重要性が解ってくるにつれて、自分が極めたいと思っていたのはオーガニックに関することなのだと気が付いたのです。大学生の頃からアナウンサーになることを目指して、実際にアナウンサーになってみて有名な方々にお話しを聞く機会が多くなり、三浦選手を初めとして一つの事を極めた人の素晴らしさを知りました。それと同時に自分もそのような方々に少しでも近づけるように何かを極めたいと思うようになってきました。そしてオーガニックに出会いこれが自分のやりたかった事で、アナウンサーとして仕事をしてきたのは、地球にやさしい安心安全なオーガニック生活に関する知識をテレビやラジオといったメディアを通して広く普及する手段を身に付けるためだったのだと解ったんです。大学生や若い人達で自分が何をやりたいのか解らないという人は多いですが、自分の回りを見渡してみて何か自分にできることを見つけてそれに全力を掛けて取り組んでみると、そこからいろいろな展開が起こってきて最終的に自分のやりたいことにたどりつくことができるのです。若い時期だからできること、若い時期にしかできないことがたくさんあります。自分の可能性を信じていろいろなことに挑戦していってほしいです。

聞き手:本日は若い人達に参考になる貴重なお話しをたくさんお聞かせいただき大変ありがとうございました。

 


 

【プロフィール】
植田 奈津子 (うえだ なつこ)

フリーアナウンサー
 報道・スポーツ番組のニュースキャスター・リポーターだけでなく、情報・バラエティ番組等も経験。
 KEE'Sアナウンススクール講師。現在KISS FM神戸のニュースを担当中。
 マクロビオティック料理・上級クラスを卒業。
 日本オーガニック推進協議会・オーガニックアドバイザー第1号。
 マスターオーガニックコーディネーター。いけばな未生流中山文甫会教授。
 家族でバンド「フルハウス」を結成。ボーカルとウクレレ担当。

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