特集

梅花卒業生シリーズ「相手の立場に立って」

氷室 真理子 氏

「アミーニ」代表

氷室真理子さん親と子を繋ぐ絆を深める手段の1つとして、絵本が注目を集めているそうです。その様な絵本講座を積極的に開いているのが『絵本講座&出版「amini」』を主催されている氷室真理子さんです。氷室さんは大学時代に梅花女子大学で児童文学を学ばれ、その後編集などの仕事を経て現在のお仕事を始められました。大学時代に培った知識・経験を仕事に活かすのはどういう事なのか。児童文学との出会いから、現在までの経緯や恩師との思い出などについてお話を伺いました。

図書館の書棚のこの柱からこの柱までという感じで、手当たり次第読んでいました。

聞き手:本日はお忙しい中私どものためにお時間を割いて頂きありがとうございます。
  学術ポータルサイト「学び舎」では働く女性にスポットを当て特集を組ませて頂いております。今回は本学の大先輩としてご活躍の氷室様にお話をお伺い出来ればと思っております。
  早速ですが、本学児童文学科のご卒業ですが児童文学を志したきっかけや在学中のお話をお聞かせください。

氷室:高校2年生の時に、梅花高校に梅花女子大学教授の川村先生が講演にこられ、「児童文学は小説の王道である」という先生の言葉に感銘を受けました。それまでは、保育系の学部に進もうと考えていたんです。元々本が好きで、図書館は良く利用していました。
  大学1,2年の時は「松谷みよ子さん」や「手塚治虫さん」といった方々の研究を行いました。創作活動は3年になってからです。もちろん川村ゼミだったのですが、ついていけるか本当に心配でした。偉大な先生と間近に接していたからかもしれません。先生は1行文章を書くのにも1年かかってでも裏づけや調査をしっかりしなさい。といわれていました。良く言われていたのが「虚構の中の真実を探しなさい」という言葉です。創作にも合理的に深く裏づけられた研究・調査が必要だと言う事ですね。昔は実感できませんでしたが、今は分ります。ゼミ生の時に先生の講演会をお手伝いしたり、新十津川へ連れて行って頂いたりしたのも良い経験でした。
  先生は、良い作品が出たらどんどん出版社に紹介するとおっしゃって下さいました。実際に出版された友人もいます。出版社は東京に集中しているので、関西にいても東京と繋がりを持たないといけないと言う事もおっしゃっていました。

聞き手:どのような絵本や文学に親しんでこられましたか。

氷室: 学生時代は日本文学を中心に読んでいました。図書館の書棚のこの柱からこの柱までという感じで、手当たり次第読んでいました。あれだけ本にのめり込めたのもやはり学生時代だったからですね。その当時は日本文学と児童文学がはっきりと分かれていた様に思います。最近では境界線が曖昧になってきています。景山民夫氏の「遠い海から来たCOO(クー)」が直木賞を獲ったあたりからでしょうか。児童文学も日本文学の中に入ってきましたね。

学生時代の児童文学を志す気持ちがどんどん膨らんでいきました。

聞き手:文学に親しまれていた氷室さんがアミーニを設立したきっかけを教えてください。

氷室:まずは、企業で働くことをめざして就職活動をして経営コンサルタント会社に入社しマーケットリサーチの仕事に就きました。いわゆる市場調査ですね。調査を行った後、調査結果を新人がテキスト化して200ページ程の資料にまとめていきます。その中で「あっ、編集って面白いな」と気づいたのです。
 それから編集の仕事をしていきたいという気持ちが強くなって、出版社に転職しました。養護教諭や保健室に来られる生徒さん向けの書籍や絵本、情報誌を製作している会社です。そこでは、社長とスタッフ総勢4名の小さな会社だったので、出版社業務は何から何まで一通りこなしました。ここで基礎が出来上がったと思います。
 さらにもっと視野を広げて行きたいという思いから、子育て情報誌に移りました。アルバイトのママさんたちといろいろ話し合って編集方針をまとめていく感じです。全体で10人位のメンバーでしたが、こちらでもいろいろな事を経験しました。こちらでは8年ほどお世話になりました。
  そうした中で、少子化の影響を受け廃刊となり、たまたま児童文学館のアルバイトを行うことになりました。しばらく遠ざかっていた児童文学にどっぷり浸かる内に、学生時代の児童文学を志す気持ちがどんどん膨らんでいきました。
  そんな時、交流のあったみやざきちかげさん(儀間比呂氏先生の絵本創作グループに参加)と、絵本の創作指導を一緒にしよう!という話になり、アミーニを立ち上げる事になりました。

地道な活動ですが、その中で絵本作家が誕生すれば・・・

聞き手:アミーニの活動内容などをお尋ねします。

氷室:出版社としての環境を整えながら、絵本製作講座や、個人出版のサポートなどを行っています。広報は主に口コミとインターネットです。アミーニ立ち上げ時にメールマガジンも作成し配信を行っています。それ以外では「絵本で町おこし」の計画に参加しています。絵本にはイラストも必要ですから、それは梅花の在校生の原画展などを見ていただいています。「在校生の作品も素敵ですね。」というお言葉を頂いたりしますよ。個人出版のサポートは川村先生が熱心だったので是非仕事として手懸けていきたいと思っていました。初めて出版される方は印刷屋さんを見つけたり、交渉したりする事が難しいです。絵本の場合は特に手触りや紙質にもこだわりますので、的確な注文が必要です。いざ出来上がったらイメージとはかけ離れていたという事が無い様にトータルにサポートしています。
  講座の受講生の方には、創造・ものづくりの楽しみを覚えて欲しいですね。地道な活動ですが、その中で絵本作家が誕生すれば・・・と思っています。

仕事を自分のライフサイクルの中で長い目でみていくこと

聞き手:アミーニを設立されるまで色々な事を経験されていますが、これからの将来の進路を考えている在校生に一言お願いいたします。

氷室:まず1つ言える事は、仕事に無駄な努力は無い。と言うことです。たとえ今している事が自分のやりたい仕事でなかったとしても、目先の気持ちにとらわれず目の前にある事を一生懸命やり遂げてください。
  また、仕事は1人では出来ません。必ず相手がいます。仕事を依頼してくださった相手の気持ちを考える事を忘れないでください。相手の立場や気持ちを常に考えていれば、きっと自分のやりたい事にも繋がります。

聞き手:氷室さんがこれまで多様なお仕事に就かれいろいろな経験を積んでこられたということをお聞きして、それが全て現在に繋がっておられるのだと強く感じました。
本日は貴重なお話しをお聞かせいただき大変ありがとうございました。今後益々のご活躍をお祈りいたします。


 

【プロフィール】
氷室真理子(ひむろ・まりこ)氏  「アミーニ」代表

梅花女子大学文学部児童文学科卒業。在学中は、川村たかし氏(児童文学作家)の指導のもと作品制作を行う。 経営コンサルタント会社勤務を経て、児童向け健康教育図書出版社に勤務。児童向け雑誌・養護教諭向けの図書の編集を行う。別の会社に転職後、ホームページの作成および、「幼稚園・保育園ガイド」などの企画編集を行う。 2003年絵本の作り方講座をスタート。アミーニを設立。主宰講座だけでなく、サークルやカルチャーセンター(コープカルチャー西宮、NHK大阪文化センター)公共施設などでも絵本の講座を開催している。2004年10月には、初の出版物絵本『バナーン』を編集・発行する。 図書館司書資格取得。児童文学会会員。絵本学会会員。


現在は、「子ども夢基金」の助成を取得。 親子での絵本講座などを精力的に行われています。

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