ハーンはおそらくチェンバレンに勧められて長谷川武次郎と知り合ったと思われるが、もともとこうした妖怪ものを書いてみたいと考えていたのだろう。これははじめ「日本昔噺」セカンド・シリーズNo.1としてくみこまれていた。
人里はなれた村に荒れ寺があって、化け物が住み着いていると言われていた。退治に行った者も誰一人帰ってこなかった。
武芸に長じ、思慮深い武士がその寺を見張る。真夜中、武士は体が半分、目も片方しかない老婆が現れ「人くさい、人くさい」と言って去って行くのを見る。それを合図のように様々な奇怪なものが現れる。武士は用心深く相対し、自分も蜘蛛の糸に絡め取られ危ない目に会うが、蜘蛛に深手を負わせることができた。
朝、村人たちは蜘蛛の糸に巻き取られている武士を見つけて助け出し、武士がお堂の床に続いている血の跡を辿っていくと、穴の奥で巨大な蜘蛛が唸っているのを見つけ、ようよう退治する。英雄の化け物退治の話である。
スペイン語版「日本昔噺」ではこれを「蜘蛛」と題して、ハーンの名はつけずNo.10に入れている。
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